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この記事を読むのにかかる時間: 2

私が小学生だった時の話。

1学期に一回、クラス内で模擬店をやる時間があった。

小学生にとっては、お店屋さんごっこをさせられる時間でしかなかったが、
他クラスが勉強をしているときに遊んでいる気持ちになれので、私は好きだった。

あるとき、お菓子屋さんになった私は誰よりもはやく売り切れ状態になった。

売る側でなく買う側になろうと思ったが、残念ながら買いたいものはなかった。

いいものは大方、始まってすぐに売れてしまうのだ。

やることがなくなった私は、教室を見回した。

するとどういうことが、授業中だというのに担任の姿がない。

担任に告げ口しそうなクラスメイトも、買い物や店子役に夢中になっていた。

私は少しの罪悪感と冒険心と共に、教室を出ることにした。

授業中だったので廊下には誰もいなかった。だが校舎を出るほどの勇気は
無かったので、私は屋上を目指した。

しかし残念ながら屋上へは出られなかった。

扉に鍵がかかっていたのだ。

屋上へ出られないよう掛かっていた鍵に疑問はなかったが、私は扉に驚いた。

真っ赤だったのだ。

鮮血のように毒々しい赤い扉に怯みつつ、私は何となく扉にもたれた。
そのとき、扉を挟んだ向こう側から声が聞こえてきた。

それはアニメの魔女のような「いーっひっひっひっひ」という
甲高い笑い声だった。

今なら笑い飛ばせるだろう。

しかし当時の私は純真な小学生だったのでその笑い声に恐怖し、教室に逃げ帰った。

私が戻るや、同じく完売したクラスメイトが私に話しかけてきた。

恐怖を薄めるために、私は彼女についさっき屋上の扉の前できいた笑い声
のことを話したが、「そんなことあるわけない」と彼女は信じてくれない。

意地になった私は彼女を連れて屋上の扉に戻った。

しかし、扉は赤くなかった。

廊下の壁と同じクリーム色に変わっていたのだ。

もちろん笑い声も聞こえない。

それから小学校を卒業するまで何度も屋上に向かったが、赤い扉を見ることはなかった。

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